マタニティ歯科 Maternity

妊娠中、健やかな口内を維持することが重要 Important

妊娠・出産・育児という女性特有のイベントの時期に歯が急激に悪くなったり、失ったりする現象が起きることから、昔は「一子を生むと、一歯を失う」と言われていました。これは、実は妊娠・出産時に口腔内の衛生状態の悪化などを含む様々な理由から、むし歯や歯周病の発生・進行が進んでしまうために起きていることなのです。

妊娠がわかった時から栄養バランスの取れた食事を摂り、口内を今までよりも丁寧にケアし、安定期に入ったらすでにあるむし歯や歯周病を可能な範囲で治療するなどの対応を心がけましょう。

妊娠中に
口内の状態が悪化する理由

  • つわりによる
    歯口清掃状況の悪化

    つわりは妊娠5週から15週くらいの間に発現しますが、口内に歯ブラシを入れると嘔吐しそうになることから、怖くて歯みがきがおろそかになり、口内が不衛生になりやすいのです。歯をみがくのがつらい時は、歯ブラシを小さめにする、下を向いて描き出すようにブラッシングする、歯磨き粉は刺激の少ないものに変える、うがいだけにする、などの工夫をして口内を清潔に保つようにしてください。

  • 間食の増加

    女性は妊娠すると、甘いものを以前よりも好むようになります。妊婦さんの約60%が、甘いものへの嗜好の変化が認められるというデータもあります。甘いもの、つまり炭水化物や糖質はむし歯の原因菌の栄養となるため、甘いものを好むほど、むし歯にかかるリスクは高くなります。食事やおやつに含まれる糖質によって歯が溶けても、唾液の作用で中和されて歯が再石化するため、ある程度はむし歯の進行を抑制しますが、妊娠中は、唾液の中和力が低下して、間食が増えると再石灰化が追い付かなくなってしまいます。

  • 女性ホルモンの増加

    妊娠すると、体内ではエストロゲンという女性ホルモンが増加します。このホルモンは歯周病菌やその他の細菌の繁殖を促し、歯茎に炎症反応が起こりやすくなります。

  • だ液の酸性化・分泌低下による
    むし歯菌への抵抗力低下

    妊娠中は、唾液の量が減って口の中のネバリ気が強くなり、唾液のpHが酸性に傾きます。すると、むし歯菌の出した酸を中和する力が弱まり、むし歯になりやすくなるのです。

妊娠中の歯周病に
気をつけましょう

妊娠性歯肉炎

妊娠時にはホルモンの分泌量が増加し、つわりによって口内の衛生状態が低下することが原因で、歯肉に炎症が起きやすくなります。腫れがひどくなると、出血を伴います。歯肉炎は妊娠初期からみられ、妊娠中期頃に最も多く発現します。妊婦さんの約半数以上がなると言われますが、毎日のケアでそのほとんどが改善できます。出産後、ホルモンバランスが落ち着くことで症状は改善しますが、放っておくと歯周病へと進行が進みやすくなるため、しっかり治療しましょう。

早産を招くこともある歯周病

歯周病は感染症であり、立派な全身病の一つです。子宮では、妊娠中のママからたくさんの血液が送られています。そのため、妊娠中のママが感染症であると、胎盤を通しておなかの赤ちゃんにも感染することがあるので注意が必要です。重度の歯周病になると、歯周組織で起こった炎症により血液を通して炎症物質が徐々に全身に広がります。体内で炎症性の物質がつくられると、子宮収縮物質(プロスタグランジンE2)の再生が促進、子宮収縮と子宮頚部の拡張を引き起こして早産になると言われています。

妊娠中の歯科治療 Type

  1. TYPE
    痛くなくても歯科衛生士による
    定期的なクリーニングを
    受けましょう
  2. TYPE
    むし歯などの治療は
    妊娠5〜7ヵ月の安定期に
  3. TYPE
    X線撮影

    歯科治療にあたってX線撮影をして口内の状態を詳しく見ますが、歯科でのX線の放射線線量は微量であり、私たちが日常生活の中で自然に浴びている放射線量よりも少ないのです。ママがX線撮影をしてもおなかの赤ちゃんに直接影響を与えることはないですし、放射線防御エプロンを着用するのでご安心ください。

  4. TYPE
    内服薬

    当クリニックでは、妊娠中の方にはお薬を使用しない方針で治療しています。ただし、お薬を使用しないことによりママやおなかの赤ちゃんに悪い影響を与える可能性がある場合に限り、妊娠中に使用しても影響が少ないお薬を必要最低限処方しています。

  5. Flow
    歯科麻酔

    歯科治療での麻酔は局部麻酔です。通常の麻酔薬の用量で妊娠中のママやおなかの赤ちゃんに有害な作用を及ぼすことはまずないと言ってよいです。ただし、妊娠後期に使用すると早産の可能性があるので、状態を慎重に判断してから使用します。

出産後の歯科治療

  • 産婦人科の産後の1ヵ月検診で「通常の生活に戻ってもいいですよ」と言われたら可能。

  • 治療出来なかったむし歯などの治療をおこないます。

  • 歯科衛生士による定期的なクリーニングを受けましょう。

横浜市妊婦歯科健診実施医療機関

平成24年度10月より、
「横浜市妊婦歯科健康診査」が始まりました。

横浜市では「横浜市妊婦歯科健康診査受診券」が母子健康手帳と共に妊婦さんに交付されます。この受診券を使って妊娠中に1回、市内の指定の歯科医院において無料で歯科健診が受けられます。 横浜市の妊婦歯科健診は他の健診の受診率と比べても、多くの方が受診されている健診事業で、妊婦さんの歯の健康に対する意識の高さがうかがえます。

当クリニックを運営する堀元歯科医院の堀元が、横浜市歯科医師会の担当理事として横浜市行政と協議を行い、歯科健診事業を立ち上げたという経緯があります。妊娠中は、お口の衛生状況が低下して歯周病やむし歯が進行しやすく、妊娠中の歯周病が早産・低体重児出産のリスクを高めるとも言われています。 また、むし歯菌はお母さんの口から赤ちゃんへうつりますので、妊娠中のお口のケアは産まれてくる赤ちゃんのむし歯予防につながります。妊娠中の動きにくくなる前の早めの時期に、ぜひ妊婦歯科検診に足を運んでいただきたいと思います。

横浜市妊婦歯科健康診査
対象 横浜市内に住民登録がある妊婦の方
健診費用 無料
受診方法 妊婦歯科健診と予約をしてください。予約時間は、できるだけ産科医療機関の診療時間内をお勧めします。
健診内容 歯科医師が、視診により、むし歯の有無、歯石の有無、歯肉の炎症の有無等を診査し、健診結果に基づく歯科保健指導を行います。レントゲン検査は行いません。
※健診の結果、治療が必要な場合は、医療保険による治療費がかかります。
受診時の持ち物 ・妊婦歯科健康診査 受診券
・母子健康手帳
・産婦人科の診察券
※当院では、管理栄養士による妊婦さん向けの栄養指導と、生まれてくる赤ちゃんの授乳や離乳食のすすめ方などのご相談も健診のなかで行います。

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